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2018年 01月 01日
ドゥームズデイ・ブック(コニー・ウィリス)
出版は1992年の古い本。電子書籍になったのはここ数年。海外のSFの賞をたくさん取った有名な作品らしい。深い解説は訳者あとがきに書かれている。ここでは軽い感想を。

最初に気になったのは専門用語が説明なしに使われていて分かりづらい、と思ったこと。降下とかネットとかフィックスとか。まぁ、あの時代の海外SFはあんなものと考えれば諦めがつく。なれる前に脱落者が出そうではある。

過去側で言葉が通じない、というのは斬新だと思った。700年も時代が変われば通じないのは当然か。日本でもそうだろうし。あと、過去の登場人物が皆警戒心が強いのも斬新。よくあるタイムトラベルものだと異邦人に対してフレンドリー。でも、相手が何者なのか警戒するのが当たり前。これが過去トラブルの解決を難しくしてスリリング度が上がっている。

そして、登場人物がことごとく自己中心的なことが気になった。いい人っぽいガーウィンでさえ、結局は自分のことしか考えていなかった。何を考えているか分からないローシュが、立派な人だった。現代側は本当に全員自己中心的。ダンワージーが困っているのに、登場人物は自分側の要求しか言わない。これがイギリス的な社会なのか、と思ってしまった。しかし、考えてみると、過去の人が警戒心が強いように、自分たちが困っている時に、リスクを取ってまで主人公側を助けたりするのはご都合主義といえばそうである。この考えに至るまでが読み進めるのが辛かった。「何でダンワージーに協力しない?」とイライラしながら読んでいた。上のことに思い至ってからは、少しはイライラが解けたけど。

ただ、第三部に入った直後、何人かが急にダンワージーに協力的になったのは不自然に感じた。

読み終わってみればすごくよく考えられた話だと思う。スリリングで面白かった。でも、読んでいて上に書いた「自己中心的」な記述がイライラする事が多かった。訳者あとがきでは「スリリングな中に喜劇的な部分がある」と評してるけど、自分にはそう感じる事が出来なかった。

同じ舞台をテーマにした続編があるらしいけど、進んで読みたいとは思わなかった。読む本が無くて安くなってたら、かな?あと、koboに本が増えてきて思ったけど、ライブラリの並び替えが思ったとおりにならなくてイライラする。


by alfred000 | 2018-01-01 17:26 | | Comments(0)


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